知っておきたい離職率の活用方法

経営

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人手不足で悩んでいる経営者の方には、離職率という指標に敏感になっている方も多いのではないでしょうか。

離職率は、1年間で離職した社員数を、期首の社員数で割ることで求めます。
つまり、50名の社員がいるA社で、年間1名離職したとすると、1÷50×100=2%、年間10名離職したとすると、10÷50×100=20%、
後者の方は、実に1年間で5人に1人の社員が離職したということになりますから、悩ませるのも無理はないですよね。

経営者を悩ませる真因は次のことに集約できると思います。

・離職した人の補充をしなければならない
・離職した人の知識、ノウハウがなくなり会社にとってマイナス
・新しく採用できたとしても一人前になるためには時間も労力もかかる

人手不足の環境下で新しい人を採用することは年々難しくなっています。
また、離職した人が有能な社員だった場合、いなくなった損失は大きなものになりますし、そういった方をゼロから育成するのは業界によっては非常に難しいことかもしれません。

一方で、離職することで会社の新陳代謝が上がり、活性化するケースもあります。
たとえば、会社の価値観と合わない人が働き続けることは、会社にとっても社員本人にとってもマイナスかもしれません。
また、社員の能力に会わない仕事を続けていくことで、その人のキャリアの発展が見込めない場合もあります。

このような場合には、退職してもらった方が双方にとってよいことなので、離職率が増えたとしてもさほど問題にはならないとも言えます。

社員規模にもよりますが、離職率ゼロが一番よいかというとそういうことでもなさそうです。
「離職した社員の補充のめどが立っている」、「会社にある知識やノウハウが喪失しない」といった条件が揃えば話ですが。

・離職した社員の補充のめどを立てる
・会社にある知識やノウハウを喪失させない

この2点について、離職率を絡めながらお話していきたいと思います。


離職率は過去の数字じゃない、将来に活かそう!

WHAT IS SUBSIDY

離職率は、確かに過去に離職した人の割合を示したものです。
しかし、会社によってある程度の傾向が出てくるものです。

たとえば、とあるA社さん、社員数60名、離職率は大体15~20%で推移していたとします。

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
16% 13% 17% 15%

これを見て、人事担当者の方は2022年の人員計画をどう立てるでしょうか?

大体過去の傾向を見て、離職率が過去4年間15%ぐらいだから、社員数60名で60×15÷100=9名ぐらいが離職する傾向があるな、ということに検討がつくかと思います。
こうすることで次に、この9名をどのように確保していくかということについて、考えていけると思います。
つまり、離職率という割合から離職者の実人数に変換することがとても大切なのです。

しかし、専属の人事担当者がいない中小企業においては、このように考えられている方は少ないように感じます。
離職率を計算してみて、今年は多かったな、少なかったなと、自分の感覚であったり、同じ業界の平均値と比べてみたりといった感じが多いのではないでしょうか。

まずは、自社の離職率を5年ぐらいさかのぼって算出してみてください。
何か傾向をつかみ、来年度の離職人数のイメージをつけてください。その上で、来年度は何人の補充が必要なのか検討し、採用活動の計画を立てていけばよいのです。

突然、退職願を出されて次の補充を考え、頭を悩ませるより、既に離職者が織り込み済みであれば、前向きに考えられると思います。

会社にある知識やノウハウを喪失させないためにはズバリこれしかない!

ZUBARI

「一人の社員に業務を属人化させないということ」ですね。これにつきると思います。

働き方改革では残業時間の短縮を目的に属人化させない取組を進めている企業もあります。
属人化を解消する方法として、製造業では多能工化、営業ではサブ担当(2人体制)などはよく知られた対策です。

業務を洗い出しマニュアル化することも王道の対策です。
また、業務の属人化を解消することは離職率の低減に効果的です。
業務が属人化すると、その担当者への負担が大きいものになりますし、ミスに気づきにくく大きなトラブルになることも考えられます。
一人でトラブルを抱え込むことが多くなり、孤独感も感じるかもしれません。

以上から、業務の属人化解消を図っていくことは、会社にある知識やノウハウを喪失させず社員の離職によるリスクを軽減できるだけでなく、社員自身の負担軽減による離職率の低下も期待できる一石二鳥の方法なのです。

業界別離職率のデータ(令和3年上半期)

TURNONVOER

最後に、厚生労働省が発表している業界別離職率のデータ(令和3年上半期)を記載しておきます。
これよりも高い数字であった場合は要注意ですね。しっかり将来の人員計画を考えていきましょう。

・建設業 5.0%
・製造業 5.1%
・情報通信 5.0%
・卸売業、小売業 6.9%
・金融業、保険業 4.3%
・宿泊業、飲食サービス業 15.6%
・医療・福祉業 8.6%
・その他サービス業 9.7%

出典:厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」

 

離職率は、活用できます

  • 離職率は利益率と似たものです。
    利益率ばかり見ていても具体的にいくら儲かったかどうかは分かりません。
    離職率から将来必要な採用人数を知り、しっかりとした人員計画を立てることが必要です。

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