経営
今年も残すところ1ヶ月半弱となりました。
今年の振り返り、来年の目標づくりの時期でもあります。
そこで、「ビジネスに役立つ!新年度の目標の立て方」として、著名人や会社の目標、ストーリー等を紹介しながら、来年に向けた目標の立て方のヒントを解説していきたいと思います。
目標の立て方として、バックキャスティングとフォアキャスティングという2つの考え方があります。
バックキャスティングとは?
現在の状況はいったん置いておいて、目標を定め、そのために何をすればよいか逆算で考える目標の立て方です。
SDGsのような脱炭素社会を目指していくような長期的な目標を立てる際に使われます。
著名人で言えば、大リーガーの大谷翔平選手、イチロー選手が当てはまります。
プロ野球選手、大リーガーになるという長期的な目標を定め実現していった人たちです。
イチロー選手が小学生の作文で「夢は一流のプロ野球選手」と書いたことはあまりに有名です。
その夢に向かって一直線に駆け上がってきた、まさにバックキャスティング思考です。
会社経営においても、バックキャスティング思考はよく使われます。
中長期経営計画はその最たる例でしょう。
ダスキン事業やコンサル事業を行っている株式会社武蔵野は、「経営計画作成」を一番に重要視していますし、多くの会社はこの考え方で経営がなされています。
このブログを読まれている経営者様も、3~5年後に向けて中長期経営計画を立てる、来年度の単年度計画を立てることに頭を悩まされているのではないでしょうか。
また、会社で働く社員についても、半期に一度の人事評価で目標を立て、それに向かって日々の行動計画を立てることを1度は経験しているのではないでしょうか。
一方で、新型コロナ感染症のような誰も予想しえない環境変化があるとバックキャスティング思考は無駄になります。
例えば、航空業界で働きたいと目標を立て専門学校に入学しても、新型コロナ感染症によって航空会社が採用をしないのであれば、計画とおりに進みません。
会社経営においても一緒です。
いくら海外展開を計画していても、世界的なサプライチェーンの停滞が起きてしまうと計画自体を見直さないといけません。
フォアキャスティングとは?
現在の状況を踏まえて、どのような改善ができるかを考えて目標を立てていく考え方です。
現在や過去を分析して進めるため絵に描いた餅になりにくい反面、抜本的な解決につながらない可能性をはらんでいます。
署名人で言えば、橋本徹元大阪市長が有名です。
橋本徹元大阪市長は、行列のできる法律相談所での、弁護士らしからぬ「茶髪、Tシャツ、色サングラス」のスタイルで有名になりました。
これには理由があり、弁護士の駆け出し時代には少年法を担当しており、黒髪、スーツでは少年と壁を作ってしまっていると感じ、先のスタイルになったそうです。
それをラジオで取り上げられ、行列のできる法律相談所などの番組で人気となり、政界に進出、大阪市長にまでなりました。
つまり、目の前の課題を自分なりに必死にやっていくことで、次のチャンスがやってきたというエピソードです。
会社経営では、「年輪経営」という本を出している伊那食品工業㈱が有名です。
「いい会社をつくりましょう」という理念のもと、だんだん良くなることを目指して経営をしています。
数字目標はつくりませんが、48年連続増収増益を達成しています。
※余談ですが、伊那食品工業に先日伺ってきました。
数字目標などのように他人から与えられたものではなく、自発的に働いていたことが印象的です。
会社は、年輪経営というだんだん良くなることを大切に経営されていて、一般的に考えられている経営計画のようなバックキャスティングではなく、一つ一つをしっかりと地道に積み上げていく経営と理解しました。
経営計画に代表するようなバックキャスティング思考で経営していくと、社員はそこから社員一人一人に展開された仕事をこなすだけになってしまうのではないか、自発的に働く伊那食品工業の社員を見ていて思いました。
バックキャスティングとフォアキャスティング、どっちがいいのか?
成功の方法を調べると「バックキャスティング思考」が良く取り上げられます。
スティーブ・ジョブズ、稲盛和夫、成功者は確かにバックキャスティング思考で成功を収めています。
一方で、ジョブスはアップルを追い出され、そこから「トイストーリー」で有名なピクサーを立ち上げ、アップルに戻りiPhoneを世に出しました。
都度都度、必死にやることで次のチャンスが巡ってきます。
イチローも、「自分の秤で、少し負荷のかかることを継続していくと、全く違う世界にたどり着ける」というようなことを発言していました。
バックキャスティング、フォアキャスティングどちらか一方ではなく、バランスさせて目標を立てていくことが重要です。
新型コロナに代表されるVUCAの時代、バックキャスティングだけでなく、フォアキャスティングも見直されるべきです。
最近では、パナソニックが売上高・利益目標を定めなくなりました。
一つには、目標ばかりが先行し、不正が起きることを危惧してのことかもしれませんが、徐々にフォアキャスティング思考が浸透してきたのかもしれません。