『「働きがい改革」道半ば』という記事を読んで

考えること

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 5月1日の日経新聞朝刊一面に『「働きがい改革」道半ば』という記事が出ていました。有料記事ですが、ご興味がある方は読んでください。

「働きがい改革」道半ば ~「仕事に熱意」6割弱どまり 海外と差埋まらず~

当時、安倍首相が掲げた働き方改革、そして、2018年6月29日に働き方改革関連法として、労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法など8本の法律が改正されました。2019年4月から年次有給休暇の5日取得義務、大企業における時間外労働の上限規制が始まりました。
その後、順次、中小企業にも適用され、同一労働同一賃金なども施行されていきました。もうすぐ成立から丸4年が経過しようとしています。

この記事によれば、この4年間で「働きやすさ」は改善されたようです。

・一人当たりの労働時間は2020年に16年比で100時間減少
・有給休暇の取得率は2016年49.4%から2020年56.6%へ改善
(日経新聞の記事より抜粋)

この記事によれば、この4年間で「働きやすさ」は改善されたようです。

・働きがいスコアは2016年58%から2020年56%へ減少
・世界平均より10%低く、23か国中最下位(6年連続)
(日経新聞の記事より抜粋)

また、働きがい、つまり働くことを幸せに感じる社員が多ければ多いほど、それに比例して、企業の増収率が高いという相関関係もあるようです。
最近では、岸田政権が「人的資本」と表現するように、これからの企業価値に「働き手」という要件が加わってくることは確実です。

ワークライフバランスという言葉の解釈をめぐって

働き方改革関連法が成立した当時、「ワークライフバランス」という言葉がよく使われていたように思います(もちろん今でもよく聞きますが・・)。

ワークライフバランスという言葉の使われ方は、仕事と家庭のバランスを取る、つまり、「仕事:家庭=80:20を仕事:家庭=50:50にしましょう」というような使われ方をしていました。
仕事時間を減らして、その分家庭時間を増やすという、仕事と家庭のバランス取れた生活。
どちらかというとキャリア人生の様々な時期をイメージして、育児期間の時は家庭を優先させる(仕事:家庭=20:80の状態)、子供が大きくなったら徐々に仕事を増やす(仕事:家庭=50:50とか仕事:家庭=70:30)といったような感じです。

一方、仕事と家庭はバランスなのかという指摘は、当時から言われていました。
つまり、仕事と家庭どちらとも100を目指すというイメージですね。仕事が充実していたら、家庭やプライベートも充実している。
家庭やプライベートが良いことがあると、仕事で頑張ろうと思えるなど、どちらも充実させていこうという考え方です。

 

今まさに、仕事を充実させたいと思っている社員が、働き方改革の名のもと一律に残業ができない、休日出勤ができないという風になっているわけです。

働きがいの定義を作る必要性

「働きやすさ」や「働きがい」とはいったい何でしょうか?

働きやすさは、残業が少ない、休日が多い、有給休暇・育児休業が取りやすい、社内のコミュニケーションが良好など、どちらかというとハード面で語られることが多いようです。この日経新聞でも、労働時間の削減や年次有給休暇の取得が進んだと書いてあります。数字での把握なので分かりやすいですね。

一方、「働きがい」とは、人それぞれの価値観を含んでいるので一概に分かりにくい。この新聞記事では、人事コンサル大手、コーンフェリーというアメリカの会社が実施した「エンゲージメント調査」というもので比較しています。

エンゲージメント調査 アンケート項目

・やりがいのある業務を行う機会
・与えられた仕事以上に取り組む意欲
・会社に所属する意欲 
・仕事をしていると活力がみなぎる、夢中になる
・責任ややりがい
・経営陣に対する信頼

このような働きがいの指標ができていくと「働きがいの向上」に向けて何をなすべきかが分かりやすくなってきますね。
働きがいについては、最近では、心理的安全性やエンゲージメントが注目されています。

エンゲージメントとは?

私はエンゲージメントカードというものを活用して研修なども実施しています。
その際、エンゲージメントが高い状態を次のように説明しています。

エンゲージメント

企業が目指す姿や方向性を、社員が理解・共感し、その達成に向けて自発的に貢献しようと意欲を持っている状態


これには、3つの意味があります。
①「企業が目指す姿や方向性」がある。
②「社員が理解・共感」している。
③「その達成に向けて自発的に貢献しようと意欲」があるか。

社長が自身の会社の目指す姿や方向性を示しているでしょうか?
それを社員が理解できるように、共感できるように具体的な事例で説明しているでしょうか?
ここから言えることは、決して、社員の自発性だけに依存しているわけではないということです。

個人の能力だけでなく組織で実力を発揮できる仕組みづくりが求められています。

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